先月末に国土交通省より「バス・タクシー事業についても、一定の要件を満たす優良な営業所の営業所-車庫間でIT機器を用いた点呼を可能にするため、旅客自動車運送事業運輸規則を改正する」との告示が発表されたので、今回は、当該テーマについて解説したいと思います。
1.旅客自動車運送事業運輸規則の改正概要について
自動車運送事業者は、運行の安全を確保するため、事業用自動車の乗務を開始又は終了する運転者に対して対面により点呼を行うこととなっていますが、現在、トラック事業においては一定の要件を満たす優良な営業所においてIT機器を用いた点呼が可能となっています。
運転者の営業所-車庫間の往復が不要になる等、ICTの活用により運行管理の効率化を向上させたり、運転者や運行管理者の働き方改革の促進を図るため、バス・タクシー事業についても、一定の要件を満たす優良な営業所の営業所-車庫間でIT機器を用いた点呼を可能にするため、旅客自動車運送事業運輸規則が改正される運びとなりました。
2.IT点呼の条件について
以下の要件にあてはまる優良な営業所であれば、届出により、営業所と当該営業所の車庫間においてIT機器を用いた点呼を行うことができるます。
(1)バス・タクシー事業者の営業所の条件について
①開設してから3年を経過していること
②過去3年間自らの責に帰する重大事故を発生させていないこと
③過去3年間行政処分又は警告を受けていないこと
(2)IT機器の条件について
①営業所で管理する機器であってそのカメラ、モニター等によって運行管理者等が運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲労等の状況を随時確認できるもの
②当該機器により行おうとする点呼において、当該運転者の酒気帯びの状況に関する測定結果を、自動的に記録及び保存するとともに当該運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できるもの
以上
従来、営業所と車庫が離れているバス・タクシー事業者の場合、運転者が車庫での日常点検後に営業所に戻って運行管理者等の対面点呼を受けるか、対面点呼を行うため、運行管理者等の人員を車庫に配置しておく必要がありましたが、今後は、営業所-車庫間でのIT点呼で対応することが可能となります。
このIT点呼の適用拡大により、運行管理業務を始め、その他の業務の効率もアップし、運転者や運行管理者等の負担が少しでも軽減されることを切に願っています。