平成29年7月から貸切バス適正化センターによる巡回指導がスタートしましたが、この巡回指導において適正な運賃の収受の有無について細かく確認を受けるケースが増えています。

また、先日、国土交通省より貸切バス事業者が旅行業者に対して支払う手数料等に係る取引対策の強化について公表されたため、今回は、当該テーマについて取り上げたいと思います。

平成28年1月に発生した軽井沢スキーバス事故を受け、「総合的な対策」の一環として、旅行業界・バス業界が共同して「貸切バスツアー適正取引推進委員会」(第三者委員会)を設置し、旅行業者等と貸切バス事業者との間における手数料等の取引の適正化に向けた自主的な取組みが進められています。

貸切バス事業者が旅行業者に対して、安全コストが阻害されている疑いのある手数料等の支払いにより、実質的な下限割れ運賃の防止を図るため、国土交通省としても旅行業者と貸切バス事業者との手数料等の調査体制の強化や取引の明確化を通じて、旅行業界・バス業界における取引環境の適正化に向けた対策の強化に取り組むことが公表されました(具体的な対策内容は以下の通りです)。

1.手数料等に係る調査体制の強化について
旅行業者に支払う手数料等により貸切バス事業者の安全コストが阻害されている疑いがある場合は、国土交通省としても、第三者委員会と連携の上、バス事業者及び旅行業者に対する調査等を積極的に実施する。

2.手数料等取引の明確化について
①貸切バス事業者が交付する運送引受書に手数料等の額の記載を義務付け、運送取引ごとの手数料等の取引額を明確化する。
⇒「旅客自動車運送事業運輸規則第7条の2第1項の運送引受書の記載事項を定める告示」の改正
※2019年5月施行予定

②貸切バス事業者が国に報告する事業報告書に手数料等の記載を義務付け、年間の手数料等の取引額を明確化する。
⇒「旅客自動車運送事業等報告規則」の改正
※2019年度報告分から施行予定

このような手数料等に係る取引対策の強化を受けて、今後も行政監査や巡回指導の際に、適正な運賃の収受の有無について細かくチェックを受けたり、運行引受書の記載事項の不備や事業報告書の報告事項の不備を指摘されるおそれが出てきます。

そのため、5月以降に行政監査や巡回指導を受ける貸切バス事業者の方は、下限割れ運賃の収受や運行引受書の記載事項漏れにご注意ください。