自動車運転者の長時間労働を減らし、運転者自身の健康保持と国民の安全確保を目的とした「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」がこの4月から改正されました。
そのため、バス運転者の改善基準告示がどのように変わったのかQ&A形式にして分かりやすく解説したいと思います。

改正の大きなポイントは次の5つとなります。
①拘束時間の短縮
②1日の休息期間の増加
③運転時間の限度
④休息期間の分割の特例
⑤予期し得ない事象に遭遇した場合

1.拘束時間について
Q1:バス運転者の拘束時間の上限時間とは?

A1:年間の総拘束時間が3,300時間かつ、1か月の総拘束時間が281時間を超えないものとしてとしてください。
ただし、貸切バス等運転者※は、労使協定により年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を294時間まで延長することができます。
この場合、1か月の拘束時間が281時間を超える月が4か月を超えて連続しないものとしてください。

Q2:バス運転者の4週を平均して1週当たりの拘束時間についての考え方は?

A2:拘束時間は52週の総拘束時間が3,300時間かつ、4週を平均して1週当たりの拘束時間が65時間を超えないものとしてください。
ただし、貸切バス等運転は、労使協定により52週のうち24週までは、52週の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、4週を平均し1週当たり68時間まで延長することができます。
この場合、4週を平均し1週当たりの拘束時間が65時間を超える週が16週を超えて連続しないものとしてください。

Q3:バス運転者の1日の拘束時間は?

A3:13時間を超えないものとし、拘束時間を延長する場合、最大拘束時間を15時間とします。
この場合、1日について14時間を超える回数(週3回までが目安)をできるだけ少なくするよう努めてください。

2.休息時間について
Q4:バス運転者の1日の休息期間の取扱いは?

A4:1日の休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上の休息期間を基本とし、継続9時間を下回らないようにしてください。

3.運転時間について
Q5:バス運転者の運転時間の限度は何時間まで?

A5:2日を平均し、1日当たり9時間、4週を平均して1週当たり40時間を超えないものとします。
ただし、貸切バス等運転手は、労使協定により52週における総運転時間が2,080時間を超えない範囲内で、52週のうち16週まで、4週を平均し1週当たり44時間まで延長することができます。

4.休息期間の分割の特例について
Q6:休息期間の分割の特例とは?

A6:業務の必要上、勤務終了後に継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合は、当分の間、一定期間における全勤務回数の2分の1を限度に休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができます。
この場合、分割された休息期間は1日の1回当たり継続4時間以上、合計11時間以上でなければなりません。なお、一定期間は1か月を限度とします。2分割を超える分割は認められません。

5.予期し得ない事象に遭遇した場合
Q7:事故や災害などの予期しない場合についての対応は?

A7:事故、故障、災害等、通常予期しないことに遭遇し、一定の遅延が生じた場合は、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用に当たり、対応に要した時間を除くことができます。
ただし、勤務終了後に通常通りの休息期間が必要です。継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし継続9時間を下回らないことに注意してください。

(参考)
バス運転者の改善基準告示 | 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト